花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!


聞いていた事実と真逆なことに唖然とするけれど、息子としてお妃様の姿を実際に見ている彼の言葉なのだから誰よりも信憑性があり、さきほどよりも深く安堵する。

魔石を片付けながら、オレリアは呆れたように笑った。


「王都は偽りの情報で翻弄されているようだね。大聖樹による聖女選出は間違いないんだろ?」

「あぁ、それは俺もこの目で見ている。城にある文献に記されていた通りだったよ。ロレッタたちは信じていないみたいだけど、父上や俺を含めて王族側の人間は信じている者の方が多い」

「となると、そろそろ事態が動き始める頃かもしれないね。大聖樹がロレッタの孫を拒絶し始めたら、ロレッタはエミリーが生きていると勘づくだろうし」


大聖樹がエスメラルダを拒絶するなんてことがあるのだろうかと顔を強張らせたエミリーを見つめながら、オレリアは続ける。


「どうしてエミリーが消されたと思う。エミリーの死によって、大聖樹の選出を無効とするためだよ。けれどエミリーは生きている。ロレッタの孫がエミリーより魔力が強ければまた話は違ってくるかもしれないが、当の本人は魔力が低下するどころか覚醒してしまったからね。大聖樹は受け入れないだろう」