「雨に濡れたし、大丈夫か?」
「大丈夫。でもちょっと疲れたわ」
「その小さな体であんなに力を使ったんだ、無理もない。それに俺も付き合わせてしまったし。風邪を引いたら大変だな、早く着替えた方がいい」
エミリーがヨタヨタと戸口まで移動する間に、レオンが玄関までやってきて扉を押し開ける。
「馬を馬屋へ連れて行ったあと、荷物をオレリアに渡しておくから」
「ありがとう。……あっ、それならこれも一緒に返しておいて」
エミリーはバッグから鍵を取り出してレオンに手渡してから、ついでのように豪快なくしゃみをし、「えへへ」と笑いつつ階段へと向かって歩き出す。
さっきレオンは力を使ったからと心配してくれたが、体的には全く疲れていない。
帰ってくる間ずっとレオンに打ち明けるべきかと考えていたからか、疲れているのは頭の方で少しぼんやりしている。
部屋に入って外套と服を脱ぎ捨てる。
下着姿になったところで、エミリーは鏡台に向かい、引き出しから蝶の髪飾りを取り出す。
彼に言おうと、もらった髪飾りをそっと握りしめながら決心する。
早く着替えようとクローゼットへ進む途中でぐらりと目眩に襲われ、エミリーはベッドのそばで力が抜けたかのようにぺたりと座り込む。


