花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!



「果実がたくさん生っているわ」

「獣犬たちはこの果実を食べたくて寄ってくるらしい。周囲が浄化されたからしばらく近づけないだろうけど……オレリアは早めに対処すべきだな。そのままにしておいたら彼の身が危険だ」


普通の聖樹でもそうなのだから、大聖樹には凶暴化した獣がもっとたくさん寄って来ていてもおかしくない。

大聖樹自体は騎士団員に守られているから無事だろう。

しかし、そのそばで暮らしているモースリーの町の人々は、リタを始め薬師クラスのみんなやビゼンテ先生は大丈夫だろうかとエミリーは心配になる。

ほどなくしてジーンが大きな梯子を持ってやって来る。

エミリーはレオンの手を借りてそこに登り、小さな魔石を内包した殻ごと枝からもぎ取った。

すると、もぎ取った箇所が干からびたような状態になってしまい、取り方を間違えたかとエミリーは慌て出す。

ジーンから「オレリア様はいつも回復の魔法をかけていますよ」と教えてもらって、エミリーもすぐさま魔力を発動させれば、みるみる元の状態へと戻っていった。

ひとまずホッとしたあと、残り九個分の魔石ももぎ取っては回復させてと、ひとつひとつ慎重に事を進めていった。