魔石がほのかに光り輝いている。
エミリーは自分の力に共鳴しているのかもとひやりとする横で、レオンは寂しそうに魔石を見つめる。
「彼女がそうだったように」
彼が今自分を思い出してくれているのだとすぐに分かり、エミリーの胸がチクリと痛んだ。
レオンは気を取り直し、「あなたがジーンか? 俺たちはオレリアに頼まれてここに来た」と告げると、ジーンも「そうでしたか! 早速ご案内します」と先導して歩き出す。
先ほど彼が獣犬に追いやられていた壁の向こう側がオレリアの管理している庭で、預かった鍵とジーンが持っている鍵をふたつ使って、三人は中へ入っていく。
大聖樹ほどではないが立派な聖樹が三本植えられていて、休憩するためか東屋も建っていて、そこはさながら庭園といった様相である。
「魔石は十個だったな」
「えぇ、そうよ」
レオンに確認されエミリーが認めると、「お嬢ちゃんが取るなら、大きな梯子が必要だな」とジーンがパタパタとかけていく。
漂ってくる甘い匂いと咲いている黄色い小花を見上げながら、城での裏庭でのひと時を思い出し、エミリーは懐かしくなる。


