花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!


小屋や木々、レオンに男性、小屋の前で警戒していた馬まで、光の粒子は全てを守るように包み込んでいく。

獣犬たちは光から逃げるように走り出すが、やがてエミリーの光に捕らえられ、その場に倒れた。

光に覆われながら苦しみ悶え、やがて動かなくなる。

地面や小屋、人や獣の体にとどまっていた光がふわりと浮かび、それらは天へと舞い上がっていった。

その場に残ったのは清浄な空気のみ。

獣犬すら凶暴性を失い、普通の可愛らしい姿に戻り、つぶらな瞳でエミリーを見つめ尻尾をパタパタと振っている。

すぐにレオンと男性がエミリーの元へ駆け寄ってくる。


「エミリー大丈夫か」

「……う、うん。大丈夫」

「す、すごい、なんて魔力だ。まさかこの子が、次の大聖女様かい?」

「だ、大聖女様だなんて、違うわ」


男性から驚きと共に問われるも、エミリーはすぐさま首を大きく横に振って否定する。


「いや、そうかもしれない。この子は間違いなく大聖女の器だ」


エミリーのかたわらで膝をついていたレオンがすっと立ち上がり、ネックレスのチェーンを指で引っ掛けて、外套の下から魔石を引っ張り出す。