「よく見てごらん、三枚重なってるだろ。一枚目は急ぎで。二、三枚目は二週間後に納品だ」
慌てて確認すると確かに紙は三枚あり、二枚目は魔導剣三十本、三枚目は複合効果の魔導剣一本と書かれてあり、エミリーは途端に遠い目になる。
「こんなにやらせるのか」
「仕方ないだろう。二枚目と三枚目は騎士団からの依頼だから量が多い」
オレリアから注文相手を聞かされ、エミリーは発注書をテーブルの上に放り出す。
「騎士団長からならお断りだわ」
身に覚えのない罪で自分を捕らえただけでなく、刺客への引き渡し役でもあっただろうあの男からの注文なんて絶対に受けたくないと顔をしかめる。
「私を嫌ってる団長がうちに依頼してくるはずないだろ。副団長からの依頼さ。新人の初討伐に必要らしい」
すかさずオレリアから否定が入り、エミリーは「それなら頑張るわ」と態度をころっと変えて再び注文書を手に取った。
その様子を見ていたレオンは、ムッと眉根を寄せてポツリと疑問を口にする。
「なあエミリー、どうして団長は嫌で副団長なら受けるんだ」
「……だっ、団長って人から嫌われてるって、オレリアから聞いてたから。他の人なら別に嫌じゃないの」


