エミリーと一緒になって土兎の食事風景を見つめていたアデルは、レオンへと「すぐにお食事の準備をしますので、少々お待ちください」と台所へと消えていった。
自分の隣の席に腰掛けたレオンをエミリーはチラリと見て、こうして食事を共にできるのは今日だけかもしれないと悲しくなる。
予定では、レオンは明日ユギアックに旅立ってしまうからだ。
もう少し一緒にいられたらよかったのにと思わずにいられないが、生きていることを打ち明けられない自分には彼を引き止める資格すらないと、エミリーは小さく肩を落とす。
アデルがレオンの前にパンやスープを並べ始めた時、オレリアも食堂に姿を現し、注文書をエミリーに手渡す。
「エミリー、今日の仕事だよ」
受け取ったそれに書かれていたのは『回復薬、天上級品二つ』のみ。横から注文書を覗き込んだレオンはただただ唖然とする。
一方、エミリーは思わず「これだけ?」と呟きかけたが、すぐに終わる分量の方がレオンと一緒に過ごせる時間も多くなるわとすぐに思い直す。
エミリーが「ふたつね、わかった」と頷くと、即座にオレリアが「ふたつだって?」と目を大きくする。


