売れると目を輝かせているオレリアにはエミリーの言葉は聞こえておらず、代わりにオレリアを非難するように、レオンが前にでた。
「おい、こんな小さい子供を働かせるつもりか?」
「あぁそうだよ。エミリーは才能に溢れた子だ。うちの即戦力さ」
納得いかない様子ではあるが、レオンはエミリーをチラリと見て小さく頷く。
「確かに頭は良い。発言が大人びていて、語彙力が多く理解も早く、字だって難なく書けるからな」
並べられた点に、エミリーはぎくりと顔を強張らせ、恐る恐るレオンを見上げた。
「時々忘れそうになるが、この子はまだ子供だ。無理をさせるな」
もしかしたら怪しまれているかもと思ったが、続いたレオンの声は温かさに満ちていて、自分を心配してくれているのが伝わってくる。
「あぁそうだね。優秀すぎても所詮三歳児。大人がちゃんと助けてやらないとね」
今度はオレリアが同意するように頷き、そして人の良さそうな顔で微笑んでみせた。
その表情に違和感を覚え、エミリーとレオンが顔を見合わせたのは言うまでもない。
翌朝、エミリーは朝食のパンをもぐもぐ食べながら、同じく傍らの床で小さく切られたニンジンをもぐもぐ食べている土兎を眺めていると、「エミリーおはよう」とレオンが爽やかに食堂へと入ってきた。


