今までだって普通に彼と話してたじゃないとキョトンとしたエミリーを、レオンが庇う。


「別にいいって」

「良くないよ。私の養女だからね。しっかり教育しておかなくちゃ」

「だったら、まずオレリアが俺を敬え」


しかめっ面でレオンに指をさされたが、オレリアはさらりと無視し、エミリーに言って聞かせる。


「良いかいエミリー。このお方はね、エイヴァリー国王陛下の二番目の王子、レオン様だよ」


第二王子のレオン様。言葉の意味を理解し、隣に座る彼の正体を知った瞬間、エミリーは完全に凍りつく。

大聖樹の見学を許されたあの日、ただの学生の彼がどうしてあの時間に城にいて、裏庭にも出入り出来たのかをもっとよく考えるべきだった。

城に住んでいるとなれば全て納得のいく話だったのに、どうして今の今まで気づかなかったのよと、エミリーは自分を責めた。


「ってか、エミリーって改名させたんだろ? エミリーを亡くしてやり切れない気持ちは痛いほどわかるけど、なんだかこの子が気の毒だ」


レオンが自身の話など興味ないかのようにさらりと話を変えたため、エミリーは慌てて口を挟む。