レオンが土兎の体を優しく撫でると、土兎も嬉しそうな鳴き声を上げた。

一方、エミリーはカルバード学長の横暴さを思い出し、ムッと眉根を寄せる。


「噛み付いたのだって、きっとこの子が怒る理由があったはずだわ。それを獣の餌にだなんてひどい」


怒りのままに発言し、エミリーはハッとする。レオンから唖然とした顔で見つめられ、今のは三歳児っぽくなかったわよねと苦笑いする。

そこで、子供の姿になってしまったことを彼に話しても良いかオレリアに確認しようと考えていたのを思い出し、エミリーはオレリアに顔を向ける。

しかし、ちょうどアデルがやってきて、帳簿片手にオレリアへ話かけた。

ひとまずアデルの要件が終わるまで待とうと、エミリーはティーカップを手に取って残っていた紅茶を飲み干す。

ふうと息をつきながら空になったティーカップをテーブルに戻すと、気づいたレオンが気を利かせて、新しい紅茶を注いでくれた。


「お兄ちゃん、ありがとう!」


にっこり笑ってエミリーがレオンにお礼を言うと、「こら、エミリー」とオレリアが注意した。


「ありがとございますだよ。そのお方に向かって軽々しく口をきいちゃいけない」

「え?」