50エネルを小箱の隣に置いて、ふんとそっぽを向くと、オレリアが「そうかい」に少し寂しげな顔をする。
「回復効果付与で、ひとつにつき1000エネルで買い取ろうと思っていたんだが」
1000エネルと聞き、思わずエミリーは箱の中へと視線を落とす。改めて個数を確認し、頭の中で報酬額を叩き出した。
「やるわ! アデル、すぐに調合室に運んでちょうだい!」
目を輝かせてのエミリーの力強い宣言に、オレリアのこっそりと笑う声が続いた。
魔法付与は授業で一度しかしたことがない。
けれどその時も回復効果の付与で、先生からも合格をもらえたから出来るはずと不安を自信に変えて、エミリーは魔石と向き合った。
途中おやつと夕食を挟みつつも集中すること八時間。
ようやく十五個全部やり遂げたエミリーは、ふらふらしながらお風呂に入った後、力尽きるようにベッドに倒れ込む。
「疲れたわー」
そのままうとうとしていると、コンコンと部屋の扉がノックされ、オレリアが入ってきた。エミリーは眠い目を擦りながら体を起こす。
「お疲れ、エミリー。確認したけど、全部合格だ」
「よかった」
「さ。これが買い取り金だよ」


