オレリア商会の見習い雇用期間は二年。最長で二年半となっている。
期間終了後、正雇用の昇格を希望する場合、もしくは今のエミリーのようにオレリア商会から個人的に仕事を受けたい場合は、オレリアによる厳しいテストに合格しなければならない。
テストは三回のみで、一回目は二年を終えた時点で受けることとなる。
合格がもらえればそこで人生の新たな一歩を希望を持って踏み出せ、不合格なら涙をのんで店を立ち去ることとなる。
その三ヶ月後に二回目のテストが受けられるが、最初のテストでオレリアのお眼鏡にかなわなかった者が合格する可能性はとても低く、三回目になるとほとんどいない。
そんな中、ダリウスは一回目に続き、二回目も不合格判定を受けてしまった。
本人は三回目のテストを希望し、後がない状態になり余裕がないからか、みんなにちやほやされているエミリーが余計気に入らない様子なのである。
私に八つ当たりしなくても良いのにとエミリーはため息をつきつつ体を起こし、ちゃんと座り直してから子供用のカップに入れられたカプルジュースに手を伸ばす。
向かいに腰掛けたアデルは運んできた紅茶をひと口飲んだ後、思い出し笑いをした。


