そこで生活しなくてはならないのかと考えると不安しかないが、ロレッタの自信に満ち溢れた顔を見つめていると自分が耐えればすべてうまくいくような気持ちになっていった。
「よろしくお願いします」
エミリーが消え入りそうな声でそう呟くと、ロレッタは騎士団長に命ずる。
「彼女を修道院まで送り届けてちょうだい」
騎士団長は「お任せください」とわずかに笑みを浮かべてから、エミリーの腕を引っ張って強引に立ち上がらせた。
ふらつくエミリーに「しっかり歩け」と声を荒げつつ、そして物言いたげに何度もロレッタへと振り返るエミリーを前へと押しやりながら部屋を出て行った。
静かになり数秒後、ロレッタとカルバード学長が視線を通わせて小さく笑う。
「さようなら、エミリー・メイルランド」
ロレッタはエミリーが出て行った扉へ向かってティーカップを掲げ、美味しそうに紅茶を飲み干した。
身に覚えのない罪で、国外追放となってしまった。
ガタガタと響く車輪の音に耳を傾けながら、エミリーは馬車の窓から遠のいて行くモースリー城をぼんやり見つめる。
修道院には身ひとつで行く様にとエトリックスクールに戻ることも許されず、国を出る前に両親にひと目会いたいと訴えたがそれも迷うことなく却下され、問答無用で馬車に乗せられた。


