花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!


薬師の誰もが憧れるオレリア商会には、働きたいと店を訪ねてくる資格保有者が多い。

一方即戦力にもなれない自分はオレリアの店で働くことすら許されないかもしれないのだ。

学費等の返済はしなくていいと言われているが、退学処分を食らったことでここまで目をかけてやったのにとオレリアを怒らせてしまったら、やっぱり返済しろと言い出しかねない。

その場合、老いるまでタダ働きすることになるか、金持ち公爵の妾にでもなるしかない。

大聖女ロレッタはソファーの傍に立つ侍女から受け取った紅茶を啜りながらエミリーを見つめる。


「当然の報いです、甘んじて受けなさい。……けれどそれだけではお妃様は納得なさらないでしょうね。お父上の爵位剥奪も時間の問題ってところかしら」

「そんな」


退学処分の理由だけでも家族には辛い思いをさせるだろうに、爵位剥奪だなんてとエミリーは目の前が真っ暗になる。

家族のためになればと思ってモースリーに出てきたというのに、逆にお荷物となってしまったと目に涙が浮かぶ。

冷めた表情に戻っていたロレッタだったが、力なく俯いたエミリーに対して再び口元に笑みを浮かべる。

ただしその微笑みは先ほどとは違い、大聖女と名乗るには陰湿すぎる微笑みだった。