花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!


訴えかけると後ろから体を押され、エミリーはその場で前のめりに倒れるように両膝を打つ。

痛みで顔を歪めつつも、信じて欲しくてロレッタを見上げるが、呆れたような視線を返された。


「まったくあなたは、国王様のご好意により裏庭に入れてもらったというのに、あろうことかお妃様の大切な物を盗むだなんて」

「私は本当に何も」

「黙りなさい! あなたが盗む所を見た者がいるのです。言い逃れができるとでも?」


厳しく言い放たれて、エミリーは体を強張らせる。

最初から盗人だと決めつけてくる相手に、いくら無実を訴えかけたところで声は届かない。

絶望し唖然とするエミリーをロレッタは冷たい目で見下ろして、追い討ちをかけるように続ける。


「あなたの罪は窃盗だけではありませんよね? あたかも大聖樹が聖女を選んだかのように演出し、みんなを、国王陛下をも騙した」

「そっ、それも違います!」


必死に声を張り上げるが、後ろから再度押さえつけられ、エミリーから苦しげな声が漏れた。


「国王夫妻だけでなくレオン王子までたぶらかして、王位を乗っ取ろうという算段かしら」

「王位だなんて、考えたこともございません」

「そう。あなたはまだ学生だし、そこまでの野心はないかしら。……けど、いるでしょ。あなたのすぐ近くに欲深い人間、オレリア・リングハットが」