今はそんなことよりも懸命に身の潔白を訴えなくてはと気持ちを引き締めた時、馬車は見知らぬ屋敷の敷地内へと入っていった。
馬車から手荒に下された後、エミリーは周囲を見回す。
右手にはモースリー城がそびえ立ち、目の前には二階建ての立派なお屋敷がある。
いったい誰のお屋敷なのとそこはかとない不安に駆られながらも、エミリーは真っ直ぐ前を見つめて、団長に続く形で歩き出した。
これほどまでに大きな屋敷なら召使いがたくさんいるだろうに、屋敷内はひっそりと静まり返っていた。
それに気味の悪さを覚えながら長い廊下を進み、応接間と思しき部屋に通される。
室内で自分を待っていたふたつの姿を目の当たりにし、エミリーは思わず呟く。
「……大聖女様、カルバード学長」
窓際にあるひとりがけのソファーにゆったりと腰掛けて紅茶を飲んでいた大聖女ロレッタは、室内に入ってきたエミリーを見て、傍に控えている侍女へティーカップを手渡す。
ここは大聖女ロレッタの屋敷だったのかと一気に不安を募らせたエミリーになどお構いなく、ロレッタは騎士団長に問いかける。
「盗まれた物は見つかって?」
「はい! 話通り、エミリー・メイルランドがクローゼットの中に隠し持っていました」
「待ってください! 私は何も盗っていません。信じてください!」


