花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!



「いったいどういうことなのよ」


苛立ちを抑えきれないままにリタが呟くと、管理人がちらりとエミリーを見た。


「騎士団長が仰るには、城の裏庭からブレスレットが無くなったみたいなの……身に覚えがないっていうのは本当? 大聖樹を見に、城の裏庭に入った時、彫像の手からあなたがブレスレットを抜き取るのを見たって証言もあるみたいなのだけれど」


信じられないとエミリーは目を大きくさせる。取っていないのだから、見たという証言は誰かの勘違いでしかない。


「やだ。エミリーあなたまさかそんな」

「取ってないわよ! 本当です、信じてください!」


リタに憐れみの眼差しを向けられエミリーは大きく首を振って否定し、続けて管理人にも訴えかけた。

廊下を振り返れば、生徒たちが数人集まってきていて、みんな疑うような目でエミリーを見ている。

誤解を解かないと大変なことになりそうだと体を強張らせたその時、部屋の中で高らかに声が発せられた。


「団長、ありました!」


そんなまさかと室内に視線を戻すと、ちょうど騎士団員がクローゼットの奥底から黒い布袋を引っ張り出して掲げみせたところだった。