「そうですか。……ごめんなさい」
「申し訳ない気持ちがあるのならチャンスをあげてください。ぜひ今夜、レオン様とディナーを共に」
お城でのディナーは心惹かれるものがあるが、その気がないのにレオン王子の元へ行くのは気が引ける。
エミリーが渋い顔で断りの文句を考えていると、フィデル副団長が「あぁそうそう」と微笑みを浮かべる。
「確か、弟ふたりのモースリーアカデミー入学を希望しているとうかがいました。モースリーアカデミーは王立の機関ですよ。断り続けていると、心象が悪くなる可能性も」
「行きます! ぜひご一緒させてください!」
「そうですか、早速レオン様にお伝えしなくは。大変お喜びになることでしょう。授業が終わる頃、またお迎えにあがります」
「よ、よろしくお願いします」
微笑みを絶やさぬまま「それでは失礼いたします」と踵を返し、少し距離を置いて立っていた騎士団員に「しっかりと頼みます」とひと声をかけてから、フィデル副団長は颯爽とした足取りで去っていく。
「うまく誘導されてしまったわ」
エミリーは悔しそうにフィデル副団長の背中を見送ってから、自分も寮の中へと移動する。


