私のことなんてもう警護する必要などないのにと考えながら、校舎を出て寮に向かっていくと、出入り口の横にフィデル副団長が立っているのが見えた。
彼もエミリーに気づくと足早に歩み寄ってきて、軽く頭を下げる。
「お話よろしいですか。お時間は取らせませんので」
「……は、はい」
気乗りしない様子で了承したエミリーの腕をリタはポンと叩いて、「席を取っておくね」とひとり寮の中へ入っていった。
入り口から少し離れた所で、「お話とはなんでしょうか」とエミリーは切り出す。
「レオン様がエミリーさんをディナーに招待したいと仰せです」
「花嫁候補はエスメラルダに変更になったのでは? 会食にお呼ばれしたと聞きました」
「周りがお膳立てしているだけで、レオン様本人のお心は変わっていません」
自分はもう既に候補から外れたとばかり思っていたため唖然としているエミリーへと、フィデル副団長は苦笑いで現状報告をする。
「貴方様に花嫁を断られ、大変ショックを受けておられました。しばらく、魂が抜けていたかのように上の空で」
おモテになる王子様だから女性に断られた経験がないのだろうかと思いを巡らせながら、なんとなく申し訳ない気持ちにもさせられ、エミリーはわずかに頭を下げた。


