あの日、雪が降っていてよかった。【完】

私が頷くと

彼は、クスッと笑って言った。


『上、見てみ。』

「上って…、空、ですか?」

『………僕があの時屋上に行ったのは、雪が降ってたから。ただそれだけ、』


雪村さんはそれだけ言うと

はー寒い、限界、と

放心状態の私の手を引いた。


「…………雪村さん、」

『んー…?』

「"あの日、雪が降っていてよかった。"」


私の言葉に

雪村さんは、なにそれ、と優しく微笑んで

雪がちらつく青空を仰いだ。


【end】