あの日、雪が降っていてよかった。【完】

『…………ふっ、心臓の音、うるせー…、』

「そっ、それは、雪村さんがっ…、」

『どっちの音かわかんないね、』


雪村さんは、一瞬私から離れると

今度は私を包み込むように

ぎゅっと、抱きしめた。


『…………言っとくけど、僕今まで誰かと付き合ったことなんかないから。』

「は、はい、」

『緊張してんのはおんなじだから。』


そっと、彼の胸の辺りに耳を寄せると

ドッドッ、と心臓の音がして。

その音は自分の鼓動と重なっているような気がした。