あの日、雪が降っていてよかった。【完】

「………か、香月、唯です、」

『唯ちゃん?なになに、ゆきに拾われたのー?』

「………あ、えと、はい…、」


そんな感じです、と私が言うと

くりくり大きな目を見開いて、へぇ、とその男の子は私の顔を覗き込んだ。


『俺、雲英忍[キラ シノブ]。ゆきとはまあまあ長い付き合いなんだー、』

「そ、そうなんですね、」

『よろしくね。ゆきが女の子紹介することなんて初めてだから、びっくりしちゃった。』


まあ男もないんだけど、と彼が笑うと

雪村さんはうるさい、と彼の頭を小突いた。