あの日、雪が降っていてよかった。【完】

『…………馬鹿みてえなことしてんじゃねーぞ、』


そう言い放って

雪村さんは私の顔なんか一切見ないまま

ただ私の手を引いて廊下を歩いた。


『……お前も、んな奴らの言葉真に受けてんじゃねーよ。』

「すみません…。…あ、あの、雪村さん、」

『…………んだよ、』

「て、手首、ちょっと痛い、です、」


私が言うと

雪村さんはぱっと私の手首を離して

悪かった、と小さく呟いた。