あの日、雪が降っていてよかった。【完】

その瞬間、がらがらっとドアの開く音がして

一瞬で教室の空気が緊張したのがわかった。


『…………ねぇ、このクラスに香月いる?』


低く静かな

聞き覚えのある声がして

シーンとした教室に、足音が響いた。


『…………どけ。…おい、鞄あったか?』


雪村さんは、強ばって動かない私の肩にそっと触れて

行くぞ、と私の手首を掴んだ。