あの日、雪が降っていてよかった。【完】

『別に、あいつらが僕にそう言ってくれたから、ああやって香月に言ったわけじゃねぇよ。』

「は、はい、」

『………僕は、お前の才能に惚れてる。多分、香月自身にも。…別に、返事はすぐじゃなくていいから、』


考えといて、と雪村さんは呟いて

私の手を引いて、立ち上がった。


『……香月、これだけは覚えといて。……お前が言えないことがあるなら僕が言ってやる。だから僕からは目を逸らすなよ。』

「っ…、」

『………帰ろう。もーここには用はないだろ、』

「っ…、ぐすっ…。はいっ…、」

『ふっ…。……お前は大丈夫だよ、』


そろそろ泣き止んで、と

私の顔に服の袖を押し当てる雪村さんの声は優しくて

余計に、涙が溢れた。