あの日、雪が降っていてよかった。【完】

《恵美さん、この人知り合い?》

「知らなぁーい。病室間違えたんじゃない?…ねぇ?」


ちらっと私の方を見た母の目は

さっさと出て行け、と言っているみたいで

私はもうそれ以上何も言えなかった。


「………ま、間違えちゃったみたい。失礼しましたっ…、」


なんだこうなるって

わからなかったんだろう。

母が私を必要とした時なんて

今まで1度もなかったじゃないか。