あの日、雪が降っていてよかった。【完】

『はぁー…、ちょっと行ってくる、』


雪村さんは明らかに面倒くさそうな顔をして立ち上がると

溜息をつきながら、教室から出ていった。


「じ、仁さん、進路の話って…、」

『あー、実は俺もさっき呼び止められたんだけどね。ほら、俺も雪村も、進学しないからさ。』

「だ、大学にってことですか…?」

『そうそう。今の時点で、ありがたいことに仕事もらってるから…、大学に行く必要もないって感じ、』


………なるほど。

曖昧に、高校卒業したら大学って思っていたけど

言われてみれば、仁さんの言うことは最もだった。