あの日、雪が降っていてよかった。【完】

「あっ、ここ…、ハモりで低い音もいれたら、高音が目立って綺麗じゃないですか…?」


こんな風に、と

思わず鼻歌交じりに歌ってみせると

雪村さんはハッとした顔をして

もう1回、と私を見つめた。


『録音しときたいから、香月のスマホ貸して。』

「あっ、はい…、」


1度スイッチが入れば

雪村さんはあっという間に仕事の顔になる。

私はその熱量に押されそうになりながらも

もう一度その部分を歌った。