あの日、雪が降っていてよかった。【完】

『まだ全然修正するつもりだから、香月の意見が聞きたい。』

「そう、ですね…。えっと、ここの小節の伴奏の音なんですけど…、」

『あー、待って、僕も聴く。』


雪村さんは私の左耳から

イヤフォンを抜いて

自分の耳にそれをはめた。


『流して、』

「あ、はいっ…、」


2人で1つのイヤフォンで

同じ音楽を聴く。

雪村さんとの距離の近さに

どぎまぎしているのが、ばれないように。