あの日、雪が降っていてよかった。【完】

「すみません、ちょっとびっくりしちゃって…、」

『村瀬は誰に対しても圧が強いんだよ…、さっきの配信の時もさぁ…、』


少し不機嫌そうな顔の雪村さんは

私を連れて自室に行くと

ちょっときて、と村瀬さんを呼びつけた。


『………香月、今まで聴いた僕の曲、なんでもいいからちょっと弾いて。』

「い、今ですか?」

『うん。お前ならできるでしょ。』


ここ何ヶ月の間で

雪村さんの部屋にあるこの電子ピアノにも

だいぶ指が馴染んできた。

どの曲を弾こうかな、そんなことを考える前に

鍵盤に指を置けば、自然と指が動き出すくらいには。