一番高いところにいる私は
鞭光君を見下ろしたまま、固まっちゃって
それに気づいた鞭光君は
フッと笑い、白い歯をちらつかせると
石段を登るスピードを緩めた。
だんだん近づく、鞭光君との距離。
私をいじり倒したくて、ウズウズしてるような
鞭光君のヤンチャな表情。
私の心が奪われそうで、ドキッと跳ね唸る。
「あ~あ。
グミのせいで、たこ焼きを食い損ねたし」
鞭光君は、更に口角を上げると
「そろそろ家に届く、
大地特製誕生日ケーキも、食いっぱぐれって。
今日の俺、どんだけツイてねぇんだよ」
空に伸ばした手を、頭の後ろで組んだ。