夕暮れの道を歩き、涙が止まらない私。
何が悲しいの?
鞭光君の好きな相手が、私じゃないこと?
『嘘カノ』という
鞭光君と繋がる言い訳が、無くなったこと?
それとも……
お誕生日の雨宮君に、酷い態度をとっちゃった自分が
人として許せないから?
高台にあるアパートに帰るため
長い長い石段を登る。
悲鳴を上げるふくらはぎを手でさすりながら
半分登った所で足を止め
涙を拭き、空を見あげた。
雲まで茜色に染める夕日が綺麗すぎて
醜い自分の心が、恥ずかしくなるほど。
明日、雨宮君に謝らなきゃな。
それに、鞭光君にも謝らなきゃ。
勝手に帰っちゃったし。
『嘘カノ』だって、雨宮君に暴露しちゃったし。