ふっと、私の口から笑みがこぼれた。
敗北感の塊りみたいな、諦めの笑み。
口元は笑ってるのに。
目尻も、ニコッと垂れ下がってるのに。
涙……
なんで、流れちゃうかな……
「鞭光君に……伝えてくれる?」
「……?」
「嘘カノ……私じゃ……ムリっぽいって……」
それと
「雨宮君……
お誕生日……おめでとう……」
私は、めいっぱい口角を上げて
涙目で微笑んだ。
これでもかって程、目を見開いた雨宮君が
「ムッチーのこと……
本気で好きなんだね……」
驚き声をこぼしたけれど
無理やり作った私の笑顔が
今にも崩れちゃいそうで。
惨めな気持ちに、耐えられなくて。
私は返事をすることもなく
急いで靴を履き
鞭光君の家から、逃げ出した。