部屋の隅に置いてあった私のカバン。
肩にかけ、静かに部屋を出る。
廊下に出ると、雨宮くんが
申し訳なさそうに背中を丸めていた。
「加藤さん、本当にごめんね」
「雨宮君が謝ることなんて……
何もないよ……」
「僕ね、ムッチーと加藤さんが
付き合ってるって、信じるから」
泣きそうなほど弱々しく揺れる、雨宮君の瞳。
嘘をついている罪悪感。
望愛ちゃんへの嫉妬。
そんな、真っ黒な感情に支配された私は
雨宮君に、笑顔を返すこともできない。
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