冬が近づいて、少し寒くなってきました。



そして、もうすぐ3年生は卒業です。



「もこちゃんお昼たべよー!…あれっ、」


わうくんは私を見て目を丸くした。

そしてとても嬉しそうにへにゃりと笑う。



「もこちゃんがセーターを着ると、もっともこもこして可愛いー」



……むむ、照れる


今日も大好きな人の無邪気な笑顔に、心を癒やされています。


お昼を食べに屋上に来ると、やっぱり少し肌寒かった。


…セーター着てきてよかった


それにしても…

「わうくんは寒くない?大丈夫?」


セーターもブレザーも着てない。


「うんっ…俺、体温高いの」


わうくんが体温が高いのはよく知ってる。

ぎゅってしてくれた時に、感じる温もりはとてもあたたかいから。


静かな屋上でお弁当を食べる。

とても、とても幸せな時間。


「おいしいね」

「うんっ」


お弁当の匂いと、わうくんの匂い。

屋上の気持ちのいい風。


ボーッとしていたら、わうくんが私の肩に頭をのせてきた。


ミルクティー色の髪の毛が、ふわふわしててくすぐったい。


おいしいご飯を大好きな人と食べる。

それってすごく…幸せだ。


「あのね、わうくん」


わうくんは、ん?と首をかしげた。

私はふわりと笑って見せる。



「あの春の日、わうくんと出会えてよかった」



わうくんの目が丸くなって、その後すぐに優しく細められた。



「…もこちゃん大スキ」



ぎゅーっと、
いつもより少し強く抱きしめられる。


そして少し震えた声で、わうくんは言った。



「ごめんね」

「…口下手だから、すぐハグしちゃうんだ」



……大丈夫。

いつも伝わっています。


わうくんの大きな愛と、優しい気持ち。

いつも私を大切に想ってくれていて、いつも私を抱きしめてくれる。



大丈夫。


「卒業したら毎日会えなくなって…ずっと一緒にいられないんだね」


大丈夫……そう思うのに、やっぱり寂しい。


わうくんは私からゆっくり離れると、私の瞳を真っ直ぐに見つめた。


「もこちゃん」



「ずっと一緒にいるからスキなんじゃなくて、…スキだから、ずっと一緒にいたいって思うんだよ」



へへっと柔らかい笑みで、わうくんはそう言ってくれた。


まるで当たり前のことを言ったかのように、ポツリと。



「だからきっと…だいじょーぶっ」



ポカポカ、心がまた、あたたかくなった。



もうすぐ冬なのに……あったかいよ、わうくん



「…っ、うんっ」



涙を拭いて、前に進もう。


春はもうすぐ。



今日もポカポカと心が癒やされた、

もこなのでした。