「わうくん準備できた?」

「できたー!」


「じゃぁ、いこっか」

「うんっ」


今日は二人で病院に行きます。
予防接種をうちにいくのです。


「……わうくん、こわい?」

「大丈夫!」


とっても元気なわうくん。

けれどそれは今だけ。


どうしてか、病院の前まで来ると……


「……うぅ…帰りたい」


半泣きになってしまうのです。


さっきまでは大丈夫だったのに…


半泣きになりながらもちゃんと歩くから、なんだか可愛い。


「…怖いわけじゃないのに体が拒否する〜」


病院を見ると、自然と体がこわばってしまうらしい。


「病院の匂いも苦手…」


見えないはずの耳がシュンとして見えて、思わずクスッと笑ってしまった。


まるで病院に行きたくないと駄々をこねる犬さんみたいだ。


「ねぇわうくん。終わったら、おいしいおやつ1つ買って帰ろう」


顔をのぞき込んでそう言えば、わうくんはゆっくりと頷いた。


「うん」


ニヒッと笑ってくれたからホッとひと安心。



―病院にて―


「お医者さん、あの…怖いわけじゃないんだけどね………それ、どれくらい痛い?」


『はーい、腕出してね』


「えっ…あ、ちょっまって、』


『この子猫のぬいぐるみかわいいでしょ』


「あっ…ほんとだ!かわいい」


『この子も応援してるから、はい。看護師さんこれ持ってて』


「この子の名前なんですか?」


『はーい、終わりました。』


「えっ?」


――――………


「わうくんどうだった?」


「…んー…なんか、いつの間にか終わってた」


「……へ?」


いつの間にか終わってた…?


ちょっとだけ不思議だけど、無事に予防接種ができて良かった…とホッとする、

もこなのでした。



「わうくん、えらいね」



ちゃんと、おやつを買って帰りました。