「もこちゃん、もこちゃん」
大好きな人が、2度も私の名前を呼んでくれた。
私の大好きな人は犬さんみたい。
犬さんみたいに可愛くて、人懐っこい。
「はーい?なんでしょう?」
「ぎゅーってしても、いいですか?」
…ズキュン
心が弓でうちぬかれたみたい。
「…いいですよ?」
お昼ごはんを食べ終わってちょうど眠くなる時間。
「抱きしめられてるうちに私が眠っちゃったら、どうするの?」
「そしたら俺も、もこちゃんと一緒に眠るよ」
「先生に怒られちゃう」
「もこちゃんと一緒に廊下に立たされるなら、そっちの方が幸せだなぁ」
何を言っても嬉しい答えしか帰ってこないから、私は黙って抱きしめられることに決めた。
「……どうぞ」
大好きな人からのバッグハグ。
座りながらだから顔は見えないんだけど、背中から体温が伝わってくる。
「もこちゃん」
また名前を読んでくれたから顔をあげたら、ほっぺにチュッて触れるくらいのキスをしてくれた。
頬がポッと赤くなる。
「わうくんのチューは、くすぐったいね」
私がクスッと笑いながらそう言うと、わうくんはへにゃりと柔らかい笑顔で笑う。
……今日もわうくんが犬さんに見える
と、思う、もこなのでした。