― もこ 高校1年生 ―


春はポカポカあたたかい。

桜の花びらが、空を泳ぐみたいにひらひら。


ゆっくり時間が流れてるみたい。


でも学校は、


「猫乃さん、次の授業体育だよ。行かなくていいの?…もう私と猫乃さんしかいないけど」

気がつけば一人ぼっちになっているし、

「私は体育見学だから着替えないけど、休み時間あと1分しかないよ」


「へ…。」


休み時間がちょっぴりしかないし、

せかせか、なんだか心が忙しい。


わたし今…猫乃さんって呼ばれた…


「……名前…覚えててくれたんですね」

うれしい。


「…え、今そんなこと言ってる場合?」


_キーンコーンカーンコーン


人生って、難しい。


着替えてから急いで体育館に行ったけど、結局先生に怒られた。


「――お前はいつもボーッと、しすぎなんだよ。これで遅刻何回目だ?」


先生に怒られるのは嫌い。

だからこういうときは、おばぁちゃん家にいるふわふわの犬さんを頭に浮かべます。


すると、


「…ふふ」


幸せな気持ちになれるのです。


「おい猫乃!なに笑ってんだ!」


もっと、のんびりゆっくり、焦らずに生きたい。

せかせかしたくないな。


わうくんと出会う前はそんなことばかり考えていた、もこなのでした。