「も、森さん!?」
「はは、この間の昼食ぶりかな?」
「そ、そうですね。お久しぶりです」
「うん。お久しぶり」


少し気まずい…。

そもそも森さんの為にあの席から抜けたんですけど!?
そう思いながら森さんを見上げるとバッチリと目が合う。


「えっと…。私、そろそろ席戻りますね」


今まで女性陣に囲まれていて辛かったのだろう。
ここは一人にしてあげよう!

私はさっきいた居酒屋に戻ろうと非常階段の扉を開けた。

━ドンという鈍い音と共に扉が閉まる。
理由は後ろからの圧迫感で分かった。

森さんが後ろから私に被さるように扉に手をおいたからだ。


「え…?」


森さんの方を見るのが怖くて扉を見つめる。

私は一体なんでこんな目にあってるの?
森さんが何をしたいのか分からない。


「ご、ごめん!びっくりしたよね!?」


恐怖に飲み込まれそうな私に、森さんが慌てたように話しかけてくる。
そのいつも通りの森さんに益々混乱する。