クスクスと二人で笑っていると、廊下から走っている足音が近づいてくる。
この音は…、はは。お早いご到着で。

誰の足音か理解した瞬間に、義姉さんの手を引っ張る。


「えっ!」


━ガチャ!バン!

その直後勢いよく部屋の扉が開いた。


「弥生!無事かっ!?」

「ア、アキさん!?どうしたの?そんなに急いで!」
「はは!もうバレちゃったんだ?流石、兄さん!僕の予想だと明日まで帰ってこないかと思ったのに」
「はぁ…はぁ…。なら、共犯に伊豆原を選ぶべきじゃなかったな」
「息切れするほど急いできたんだね」
「当たり前だ…。いい加減弥生から手を離せ…!」


兄さんがそういうと、義姉さんを引っ張り抱きしめた。
あの兄が僕を警戒している。

その光景に思わず笑えてくる。


「あはははは!もう、そんなに警戒しないでよ!もう手をだしたりしないから」
「…なに?」
「うーん。…心境の変化かな?じゃあ、お邪魔虫は退散するよ」
「は?」
「あ!それから弥生さんを悲しませちゃダメだよ?そんなことしたら僕、何するか分からないから」
「…当たり前だ」
「そ。ならよかった。じゃあ兄さん、義姉さん、またね!」


後ろから聞こえる呑気な義姉さんの声と、戸惑い気味の兄さんの声に手を振りながらその場を後にした。