「で、でも!それで本当だったら?僕が、二人から愛されてなかったら…?」


愛されてないと分かるのは辛い。
それをもし再確認してしまったら、僕は、僕は…。

一体どうなってしまうのだろう?


「そうなったら、私がご両親の分まで貴方を家族として愛してあげるわ」


あぁ。

この人はまるで水みたいだ。
僕の欲しい言葉をくれる。

嘘みたいに喉が潤っていく…。


「勿論。アキさんと一緒にね」


空気を変えるようにお茶目にいう彼女は、慈悲深い女神のような表情(かお)をしていた。

本当に兄さんは羨ましい。
心の底からそう思っているのに、喉は潤ったまま、渇くことはなかった。


「…ふふ。義姉さんは変わってるよ」
「え?そうかな?」
「そうだよ。じゃないと襲おうとした僕に説得なんてしないでしょ?」
「うーん。説得っていうより説教かな?」
「アハハ!本当変わってるよ!」


こんな気を遣わない無駄話は始めてだよ。
無意識に笑顔になる口から、自然と笑い声がもれる。