小さい頃、兄さんのことで泣いてた。
僕の事では泣いたことないのに…。


「そんなことないよ」
「何でそんなことが言い切れるの?今日初めて会ったでしょ?」
「それは…」
「気づかなかった?僕に対する冷たい視線。僕を警戒する姿勢!何?君はそこまで鈍感なのか!?そりゃ同僚の片思いに気づかないわけだよね!!」


勢い余ってバァンと扉を叩いてしまう。
それと同時に彼女の肩がビクッと動く。


「ほら、君だって僕に怯えている。それでよく愛しているなんて言えるね」


そんなにビクビクするくらいなら、嘘をつかないでよ。
イライラして仕方がない。

ムカツク。


「…愛しているよ。私もエリーゼさんたちも」
「ッハ。まだそんなこと言うんだ?」


こんなにイライラするのは初めてかも。
それぐらいこの女にムカついている。


「じゃないとエリーゼさんは私に忠告したはずよ」
「…は?」