子どもの頃、両親が兄に向ける目が僕に向けばいいと思っていた。

だからあの手この手を尽くして兄さんから両親を奪った。
…そのつもりだった。

でも兄さんは意図して両親の元から離れた。

僕は兄さんから両親を奪ったんじゃない。
兄さんが僕に両親を譲ったんだ。

そのことが分かってから無償に喉が渇いた。

渇いて渇いて渇いて、もうどうしようもなくなって、手あたり次第の女性に手を出した。
その中には恋人を持つ女性もいた。僕の傍には遊びで寝る子しかいなかったのに、彼女は恋人よりも僕に夢中になった。

そんな彼女と付き合うようになったとき、渇いてた喉が少しだけ潤った気がした。
でも長くは続かなかった…。

日が経つにつれ、徐々に喉が渇いていく。

もう一度あの潤いが欲しい。


そう思いはじめた時には、もう手遅れだった。