━ガチャと扉が開く音がした。
それと同時に聞こえてきたのは、聞き覚えのある優しい声。


「帰ってるなら一言声をかけてよね。兄さん」

「シキ…」


振り返るとこの間の旅行でたまたまあったアキさんの弟、シキさんがいた。

そっか。そうだよね。
シキくんもこっちに来てたんだ。
てっきり大学があるアメリカにいると思ってた。


「この間ぶりですね」
「義姉さん、また敬語に戻ってるよ」
「あ、ごめんね。シキさん」
「あら、シキと会ったことがあるの?」
「はい。この間アキさんと旅行に行きまして、そこで偶然お会いしました」
「そ!せっかくだから一緒に観光したんだよ」
「アキ、本当なの?」
「あぁ。本当だ」
「そう。…シキ、分かってるわね」
「勿論だよ」
「そうよね」


ん?若干不穏な雰囲気…?


「それよりも早くディナーにしてあげたら?」
「まだディナーには早いわよ。そうだわ!アキ、弥生さんに家を案内したらどうかしら?」


え!?
豪邸探検!?行きたい!!