「弥生。失礼するぞ…?」


童貞でもないのに、何故こんなに緊張するんだ?
これが所謂惚れた弱みってやつか…。

まさか俺が経験することになるとはな。


「あとはネックレスだけだな…っ!……このネックレス…」


これは俺が初めてプレゼントしたネックレス。
ドレスで見えなかったが、まさかつけてくれていたとは…。

しかも綺麗に使っている。
贈ったのは随分前なのに傷一つない。

指輪も先ほど渡したばかりの婚約指輪だった。

もしかして俺が送ったもので今日のドレスコードを作ってくれたのか?

俺のあげたネックレスに似合うようなドレスを探し、
更には俺があげたバッグまで合うようにトータルコーディネイトしてくれたのか。

なら…。


ならどうして俺との結婚に不安を感じてるんだ…?


邪心が芽生える。

このまま既成事実を作ってしまえば、弥生がどんなに不安であろうと繋ぎ止めることが出来る。
弥生との間に子どもさえ出来れば…。