それはこっちのセリフなんだよな…。
突然現れた失礼なイケメンに何も言えないでいると、横に座っている獅貴が溜め息を吐いた。
「…律、静かに」
「はいっ!承知です総長!!」
全然静かじゃないけど大丈夫…?
嬉しそうに獅貴の言葉に返事をするイケメンくん。時折チラリと私の方に視線を向けると、今にも殺されるんじゃないかと思うくらい剥き出しの殺気で睨んでくる。
なるほど、ようやく落ち着いたかと思ったら、本日何度目か数えるのも億劫な嵐の予感である。
「…お前、何なんだ。総長の何だ」
威嚇してくるイケメンくんに怖気付きそうになる。が、体に力を込めて平静を装った。ていうか獅貴の何なのかって私が聞きたいよ。
「…この可愛いのは紫苑。俺の女だ」
だから違うって。
何当然みたいな顔してんだよ。『モノ』から人にしてくれたのは大きな進歩だけど、未だ間違いも大きい。人の話聞かないタイプなのかな…。

