拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】




「……、」



私の膝に顔を埋めていた陽葵が、ピタッと動きを止める。耳がピクピクと動いたかと思うと、スッと起き上がって振り向いた。



視線の先は、外へ続く扉。



「…?…陽葵?」



声を掛けると、陽葵は此方を一瞬一瞥して立ち上がる。じっと扉を見つめて、やがて何かに気が付いたように緊張を緩めると、口角を上げた。




「…しーくん、りっくん来た」




りっくん…?




獅貴を見上げる。面倒くさそうに眉間に皺を寄せているところを見るに、りっくんというのは知り合いだろう。鴻上さんも困ったように笑っている。



バンッ!と大きく音を立てて扉が開いた。扉に掛かる、来店を告げるベルがリン…と強く鳴った。






「―――総長!!」






嬉々として声を上げ入ってきたのは、またもや超絶イケメンの青年だった。歳は私たちと同じくらいだろうか。灰色の髪が無造作に揺れている。



雰囲気が、何処か獅貴に似ている気がした。




「総長!あなたの律が参りました!
…って、誰だお前」