拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】




「…お前…っ…はぁ…」



何か言おうとしたのか焦ったように口を開いたが、結局何も言わずに口を閉ざす。獅貴は噤んだ口を再び開いて、私が差し出したスプーンの先を含んだ。



一瞬覗いた赤い舌に何故か艶めかしい何かを感じて、そっと視線を逸らす。




「…ん、美味い」




伏せていた目を上げて、上目遣いで此方を見た獅貴に動揺する。緩んだ眦が妙に目に毒だ。



「っ…」



これだから美形は嫌なんだ。これでも心根はメンクイなので、見蕩れるものは見蕩れる。それが獅貴のような超絶イケメンなら尚更。



ふいっと視線を逸らすと、端で不思議そうに首を傾げる獅貴に気が付いた。鋭いくせにこういう時は鈍いところに悶える。ギャップ萌えというやつだろうか。





「―――…だって…お腹すいてたから…」




「―――だってじゃありません!人のご飯勝手に食べちゃダメでしょう…?」





近付いてくる二つの声。片方は気落ちしたような、反省したような声で、もう片方には疲れが滲み出ている。