…ていうか、お腹空いたって…
「…お前、さっき飯食っただろ」
スーッと冷たく目を細めて言い放った獅貴に、こくこくと頷く。鴻上さんが作るご飯を片っ端から食べまくっていたはずだ。オムライスとラーメンとナポリタンを一瞬で平らげていた。
そのまま満腹で寝てしまった陽葵が、今はお腹を鳴らしている。
「…じゅんちゃん、ごはんー」
椅子から立ち上がってパタパタとキッチンへ向かった陽葵。子供みたいなその動きに笑いが零れて、そんな私を獅貴が微笑ましそうに見つめる。
「―――あー!!ちょ、ダメですよ陽葵くん!それ獅貴くんの…ってもう食べてるし…」
慌てたような鴻上さんの声。それが悲鳴に変わって苦笑をこぼす。チラリと獅貴の方を一瞥するが、特に怒った様子もない。
とん…と肩をつつくと、甘い笑みで此方を振り返った。
「…獅貴、あーん…」
「ッ…!!」
スプーンに掬った一口を差し出すと、獅貴は怜悧な表情を人間らしく歪めた。心做しか、頬が赤く色付いているような気もする。

