「君のご飯作ってあげてるの、誰でしたっけ?」と溜め息混じりに呟いた鴻上さんに目を見開いた。
この二人、なんだか親密そうだ。
「お二人の関係って…?」
もしかして、兄弟とか…。いやでも全然似てないし…近いところで従兄弟とかだろうか。
首を傾げて問い掛けた私に、二人はぱちぱちと目を瞬かせた。一度お互いに顔を見合わせると、無表情の獅貴に苦笑しながら鴻上さんが答える。
「あー…兄弟とかではないですよ…?
なんて言うんでしょう…獅貴くんの、"先輩"?」
…やけに含みのある言い方だ。
「…高校のOBってことですか?」
まぁ…そんな感じかな…と苦笑する鴻上さんに、それ以上は何も聞かなかった。明らかに何か誤魔化してる風だし、獅貴の方をチラチラと伺っている様子だ。
…私には言えないことなんだろうか。
少しの寂しさが胸の内を支配して、それに気付かないフリをした。

